【体験談】税理士試験に10年かかった私が学んだ合格する勉強法と戦略③(大学院という選択)

(1)合格発表後の過ごし方

 税理士試験の合格発表があってから、約2週間が過ぎました。受験生の皆さんは、来年に向けて準備をされていることだと思います。
 また、少しづつ、勉強をされている方もいらっしゃることだと思います。私は、この時期は、結果が出ないで、いつも落ち込んでいて、勉強に手がつかない状態でした。とりあえず、来年からスタートする講座を申し込むだけでした。しかし、この時期は、実は大変重要な期間であると思います。なぜならば、この時期に反省しないまま過ごして、来年の講座がスタートしても、結局、同じような結果になるからです。一番重要なことは、まず、なぜ、今回不合格となったのかを真剣に考えることです。
 たとえば、基礎力が足りなかったからなのか、又は、消化不良で勉強が追い付かなかったのかなどです。そのような場合は、来年に、2年目の方は、上級コースを申し込むと、基礎力は既にあることが前提で授業がどんどん進むため、途中でついていけないことになりかねません。従って、上級コースよりも、もう一度初級コースを申し込む方が、結果が出る可能性が高いと言えます。このように、この時期に、自分に何が足りなかったのか、自分の弱点はどこなのか、計算が弱いのか、理論の暗記が弱いのか、応用力が足りないのかなど、自己分析をしっかりと行うことが、合格に繋がると痛感しました。この時期を無駄に過ごすことのないように十分に心掛けて下さい。

(2)大学院という選択

 税理士試験は、科目合格制をとっており、他の国家試験に比べて、受けやすく、特に社会人にとっては可能性の高い試験であると思います。一度、合格した科目は、生涯有効となり、次の科目に集中して勉強することが出来るからです。1回で合格する必要がない点は魅力的です。簿記論と財務諸表論は必須科目で、法人税法又は所得税法のどちらかを選択し合格する必要があり、残りの2科目は、税法科目から選択出来ます。従って、毎年1科目ずつ合格すれば、5年で突破出来ます。また、1年に2科目ないし3科目合格すれば、2年で突破することも可能です。
 しかし、実際に2年~5年で合格することは、かなり厳しいく、私の感覚では、8年~10年はかかるのが普通であると感じました。
 簿記論と財務諸表論は、比較的早期に合格することが出来ると思われますが、次の税法科目として法人税法又は所得税法を選択した場合、格段にレベルが高く、計算と理論で2科目分の分量があり、時間もかかります。従って、数年受験しても、不合格が続くことも、珍しくありません。この状態がずっと続くと、精神的にきつくなり、試験を諦めることも視野に入ってきます。私も、法人税法を数年受け続けましたが、まったく、合格する手応えをつかむことが出来ませんでした。
 ちょうど、私が悩んでいた頃のことですが、転職した会計事務所でたまたま出合ったスタッフ3人のうち2人が、大学院に進み、既に税法免除を受けていたのです。今までに大学院という選択は全く考えていませんでした。なぜならば、私は、大学院に進んで税法免除を受ける人は、親が税理士や公認会計士で、跡を継ぐために税法免除を利用していると思っていたからです。税理士試験は、5科目合格が王道だと思っていましたし、5科目合格しか考えていませんでした。しかし、2人とも、親が税理士や公認会計士ではなかったのです。私の考えが間違っていたことに、初めて、気づきました。5科目をすべて試験で合格しなくても、一部免除で合格しても、同じ税理士に違いはないということです。そこで、いろいろと考えた結果、この状況を脱出するために、会計事務所を辞めて、大学院に入学し、税法免除で税理士試験の合格を目指すことを決断しました。もちろん、会計事務所に勤務しながら、大学院に通うことも考えましたが、2年間で修士論文を完成し、指導教授からお墨付きをもらわなければ、無駄になると思い、大学院に集中することに決めました。今は、社会人コース充実しているので、勤めながら大学院に通い、税法免除を目指すことは出来ると思います。実際、入学して分かったことは、親が税理士や公認会計士の人は約4割程度で、6割の人は税法免除を受け、早く合格したいと考えて大学院を選択していたり、私と同じように法人税法や所得税法が受からないで、税法免除を選択している人たちでした。

①大学院のメリット

 大学院のメリットは、2年間修士論文を完成させ、指導教授のお墨付きを得て、国税庁の審査を受け、審査の認定によって税法2科目が免除となることです。2年間で2科目の税法科目の合格が認められることは、簿記論と財務諸表論が合格していれば、あと1科目で試験を突破出来ることになり、精神的にも肉体的にも、安心感をもたらしてくれます。実際、2年間で法人税法とその他の税法科目を合格することが出来る保証はありませんし、さらに、2年間合格出来なければ、前回のブログでも触れましたが、いわゆる地獄沼にハマった状態が続くことになり、その結果、試験自体を諦めるという方向に傾く可能性もあります。2年間で2科目免除が認められることは、1日も早く税理士試験に合格出来るという意味で大きなインパクトがあると思います。

②大学院のデメリット

 大学院のデメリットは、何と言っても、2年間に係る入学金や授業料の合計額が平均200万円はかかることです。大学院では授業料後払い制度もあると思いますが、いずれにしろ、かなりのまとまった金額を用意しなければなりません。仮に、専門学校に通った場合、1科目が25万円とすると、4年で2科目合格した場合でも100万円で済みますから、大学院で税法免除を受けるよりも、経済的負担少なくて済みます。また、大学院の2年間で修士論文を完成させることは、作成に時間もかかり、仮に、多くの文献を参考にして仕上げることが出来たとしても、内容が修士論文として国税審議会の審査に耐えうるものでなければならず、指導教授のお墨付きを受けることは、簡単ではありません。さらに、修士論文を国税庁に提出したからといって、必ず審査を通るという保証はありません。過去の実績がある(修士論文が国税庁の審査の認定を多く受けている)大学院に入学することが出来なければ、2年間という時間が無駄になりますし、お金も無駄になってしまいます。過去の実績がある大学院に入学するためには、研究計画書を提出し、論文試験を受け、さらに面接を受けて合格しなければなりませんから、ここでつまずくと、税法免除も難しくなります。

③大学院という選択肢

 大学院のメリットとデメリットについて述べてきましたが、私は、いろいろ考えた結果、大学院のメリットの方がデメリットを上回ると考えました。一番のポイントは、過去の実績のある大学院に入学して、2年間で修士論文を完成させ、指導教授のお墨付きをもらえれば、まず、国税庁の審査を通ることが出来、税法免除を受けることが出来るからです。これは、精神的な面で、大きなアドバンテージとなります。簿記論と財務諸表論が既に合格していた場合、あと1科目税法を合格すれば良いわけですから、頑張ろうという気持ちが湧いてきます。従って、大学院を選択肢の一つとして考えることは、意義があると私は判断しました。また、もし、大学院に入学し、税法免除を受けていなかったら、おそらく途中で税理士試験を諦めていたと思います。前回のブログの勉強法と戦略②で述べた内容をまず、十分に吟味していただき、5科目合格を目指していただきたいと思います。それでも、うまくいかない場合には、大学院という選択肢を考えてみることも一つの方法であると私は思います。

④大学院に向いている人

 大学院を考える場合、理論の暗記が苦手な人でも、コツコツ努力を続けることが出来る人であれば、大学院はお勧めです。税理士試験は、理論暗記が苦手な場合、それだけで理論暗記が得意な人に比べ不利となりますが、修士論文を完成させる場合、理論暗記をする必要はありませんし、努力出来る人であれば、最後まで完成させることは出来ると思います。また、計算問題を解くわけではありませんから計算問題が苦手であっても、関係ありません。現在、長期受験で、特に法人税法又は所得税法が合格出来ずに悩んでいる方は、前回のブログで触れたように、マンネリ化を打破して、試験で5科目合格を目指していただきたいと思いますが、大学院という選択肢も、もう一つの方向性として十分選択肢の一つとして考えても良いのではないかと思います。
 私が大学院に入学したのは、今から約20年前で、その頃は、会計事務所に就職する場合、大学院卒は敬遠されることが多かったと思います。しかし、現在は大学院卒であっても就職で不利になることはないようです。また、税法免除を推奨している大学院も多くなりましたし、社会人コース充実していると思います。5科目合格者の割合は約40%程度ですから、大学院という選択は一つの有効な手段であると思います。


 今年もあとわずかとなりましたが、受験生の皆さんは、この時期を大切にし、発表の結果で自分に何が足りなかったのかを、真剣自己分析し、来年に向けて頑張って下さい。前回のブログで投稿した勉強法と戦略②は、私が、大学院を修了した後に、長期受験の現状再度自己分析し、反省し、専門学校の講師の先生に何度も質問をする中で見つけ出したことを落とし込んで実践し、さらに大学院で学んだ知識や経験を加味たものであり、その結果、最後の税法科目を突破することが出来た過程を詳細に書いたものです。従って、長期受験で悩んでいる受験生の皆さんには、参考になる事がかなり含まれていると思います。税理士試験は、厳しい試験ですが、諦めなければ、必ず、合格出来る試験だと、私は思います。大学院という選択肢も、頭の隅に置きつつ、皆さんが一日も早く合格されることを祈っています。