【体験談】税理士試験に10年かかった私が学んだ合格する勉強法と戦略②(マンネリ化の打破)

令和7年11月28日に税理士試験の合格発表がありました。合格された方は、本当におめでとうございます。次の科目に向けて勉強を進めて頂きたいと思います。惜しくも合格に達しなかった方は、大変残念ではありますが、その悔しさを忘れずに、来年こそは合格できるように、努力して頂きたいと思います。
私も、この合格発表の時期が一番嫌いでした。8月上旬のあの夏の一番暑い時期に試験があったと思ったら、約4か月後の11月末の冬の寒い時期に発表があるわけですので、試験の手応えがないような場合には、まず、合格は厳しいことが予想できるため、合格発表の通知は見たくないと思うことがしばしばありました。
せめて2か月後位に発表があればその時の感触や手応えを覚えていて、合格出来なかった場合には反省することも出来ますが、4か月も過ぎるとなかなか反省の気持ちをその時点に切り替えることが難しいといつも思っていました。
ところで、今年、合格発表で気になった科目があります。それは、財務諸表論です。なんと合格率が31.9%でした。私が知る限り(ここ30年位)では、すべての科目で過去最高に高い合格率だったと思います。受験1年目(初学者)の方が、多く合格されて、恩恵を受けられたことだと思います。一生懸命最後まで諦めず努力した受験生には、運という恩恵も付いてくると言うことです。3年前が14.8%、2年前が28.1%、前年が8.0%ということですから、1年ごとに合格率が大きく上がったかと思えば、次の年は大きく下がるというジェットコースター状態を繰り返しているのです。これについては、いろいろな要因があると思われますが、私が考えるには、合格率が高い時は、問題が比較的易しく、合格ラインの1点に数百人が集中するため、合格ラインを1点下げるだけで合格率がアップします。逆に、合格率が低い時は、問題の難易度が高く、合格ラインに到達する受験生が少ないため、合格率もかなり低くなると考えられます。1年に1度しかない人生を賭けた試験ですから、試験の難易度が上下するような出題ではなく、安定した出題をして頂きたいと切に思います。いずれにしても、受験生の皆さんは、問題の難易度に左右されないような勉強を常に心掛けることが重要であると思います。1年間一生懸命努力すれば、運も味方につけることが出来るはずです。
税理士試験特有の科目合格制に潜む表裏一体のジレンマ
税理士試験は5科目に合格することによって、税理士試験を突破することができます。簿記論と財務諸表論は必須科目で、法人税法と所得税法のどちらかを選択し、合格する必要があります。あとの2科目は残りの税法科目から選択することができます。そこで、税理士試験の大きな特徴として挙げるとするならば、科目合格制が採用されていることです。
これにより一度合格した科目は、一生涯有効となります。1年に1科目合格すれば、5年で突破することが出来ますし、1年に2科目ないし3科目合格すれば、2年で突破出来ます。
従って、他の国家試験に比べて、1回の試験で合格する必要がないので、社会人を含めて受けやすく、働きながらでも合格の可能性を感じる試験であると考えられます。
しかし、2年から5年というのは、あくまでも理想的な合格を示したもので、実際は、2年から5年で合格するケースは、かなり珍しく、1年に1科目合格する保証はありませんし、1科目合格するのに、数年かかる場合もあります。従って、私の受験経験や友人を含めて、受験生全体を見ると8年から10年はかかるのが普通であると痛感しました。
(1)税理士試験という地獄沼(蟻地獄)
科目合格制は、いわいる地獄沼(底無し沼又は出口の見えない洞窟あるいは蟻地獄)ではないかと思います。最初の1年、2年で簿記論と財務諸表論に順調に合格し、これならば、「あと2年位で十分に合格出来るだろう!!」と安易に考えて、次の法人税法又は所得税法を受けると、まったく合格することが出来ません。法人税法や所得税法は、簿記論や財務諸表論に比べ、格段にレベルが高く、試験の内容も難しく時間もかかります。
しかし、仮に4、5年合格出来なかったからといって、ここで諦めるという選択をすることは、難しいといえます。すなわち、一度足を踏み入れたことによって抜け出すことができない状況、いわゆる、地獄沼にハマってしまったことになります。1年頑張って、合格出来ると思ったら不合格となり、それが数年続く、まさに蟻地獄状態(少し這い上がったと思ったら、すぐ底に落ちていく)ないしは出口の見えない洞窟に迷い込んで脱出出来ない状態になります。これは、体験した方ならば、わかると思いますが、精神的にも経済的にもダメージが大きく、受験を続けることすらも困難な状態となります。かと言って、2科目受かっているから、途中で辞めることも出来ないというジレンマに陥ります。進むも地獄、辞めるも地獄。会社に就職した知り合いは、皆バリバリ頑張っていて、出世しているのです。しかし、自分だけが、止まったままの状態が続きます。
(2)地獄沼からの脱出(マンネリ化を打破する)
長期受験の方は、頑張ってはいるのですが、毎年同じような結果(不合格)になることが多いと思われます。原因は、マンネリ化です。同じ専門学校を利用していると毎年同じようなテキスト内容で、同じような答練の問題が出題されるため、成績も上位をキープ出来ます。しかし、これは、単に専門学校の答練で良い点を採ろうとして、答練対策をしているに過ぎません。専門学校の答練でいくら良い点をとっても本試験で得点出来なければ意味がないのです。答練対策はやめて、自分自身の得意・不得意を分析し、足りない部分を補い、本試験で出題される自分の不得意分野を克服することこそが、合格への道であると思います。実際、別の専門学校の模試を受けてみると、まったく得点出来ないこともあるはずです。
①理論暗記と理論答案の書き方
たとえば、理論の暗記をするのに、何度も手で書いて覚えようとされる方がいます。これも、良いとは思いますが、時間がかかるのと、手が痛くなるためお勧めできません。私は、理論の暗記が苦手で、最初の頃は、理論を書いて覚えていました。しかし、書いて覚える方法は、書く作業に意識が向いて、理論の定着が良くなかったのです。黙読だと時間も短縮され、手も痛くなりませんし、定着率も上がりました。自宅では、音読が効果があると思います。自習室や図書館は周りの迷惑になるため、黙読が最適で良いと思われます。また、完全に暗記が出来た時には、一度だけ、テーマごとに実際に書いてみることは有効です。特に時間内に書き切れるかどうかと、漢字を忘れていないか(誤字、脱字は厳禁)のチェックをするためです。また、時間内に書き切らなければならないため、ぎりぎり読める字に崩すことも必要です。これは、講師の先生にどこまで字を崩しても良いか一度聞いてみるのもお勧めです。
この場合のポイントですが、第一に、最初の書き出しは、丁寧な字で書き、徐々に崩していくということです。私は、字を書くスピードが遅かったため、この戦略で理論の答案を作成し、試験を突破しました。答案は、読んで頂くことが大事であり、最初から字を崩すと印象が悪く、最後までちゃんと読んでもらえない可能性があるからです。ただし、専門学校の講師の先生は、理論の答案がいくら汚い字であっても採点してくれます。その点、試験委員はAIではなく、人間ですし、本試験では何千枚もの答案を採点しなければなりませんから、丁寧な字と汚い字では、同じような内容の場合には差が出る可能性があることは否めません。
第二に、理論を書く上で重要な点として、キーワードを落とさずに書き切ることです。何千枚もの答案を採点する場合、予めキーワードに配点を置くことが考えられます。キーワードが書かれているかどうかで点数が決まるといっても過言ではありません。従って、いくら量だけ書いたとしても、キーワードが抜けていれば、点数は伸びませんので、合格に達しないことになります。仮に、ヤマが外れて、Cランクの問題が出てしまって一字一句覚えていなっかったとしても、最低限のキーワードさえ覚えていれば、それをうまく繋げて書くことによって、他の受験生もほとんど書くことが出来ない(白紙に近い)ので、合格を勝ち取ることが出来ると思います。
②計算問題の解き方と電卓の叩き方(打ち方)
計算問題の解き方として、たとえば、簿記論の場合は、第一問と第二問が個別問題で、第三問が総合問題とすると、最初の第一問から解くのではなく、第一問と第二問を斜め読みして、解きやすい問題から先に解答することです。第一問から解いて、いきなり難しい問題だった場合、時間もかかりますし、正解する可能性も低いため、第三問の総合問題の中に部分点が採れる問題があったとしても解答する時間がなくなり、結果的に不合格となってしまいます。これは、まさに私が最初の受験で失敗したケースです。
電卓の叩き方ですが、右利きの場合は左手で叩き、左利きの場合は右手で叩くと計算がスムーズに解けると思います。右利きの人が右手で叩くと、右手で叩いた後にペンを持ち替えて書かなければならないため、左手で叩くよりも多少のロスが考えられるからです。また、自習室で電卓を親の仇のようにガンガン叩き大きな音を鳴らしている受験生をたまに見かけます。私は、なるべく遠くに座ってその音を避けるようにしていました。受験の最初の頃ですが、簿記論の答練で、たまたま隣に座った人が、答練が開始してすぐに、電卓を叩き始め、2時間、ほとんど電卓を叩いていました。きっと検算まで終わって、かなり出来る人だと思いました。ところが、答案の回収の時、その人は提出しませんでした。そこで、気づいたことは、問題の解答方法が分からないままずっと電卓を強く叩いていただけだったのです。私の経験上、電卓を強く叩く人と、静かに叩く人では、電卓を静かに叩く人の方が、合格されている人が多いように感じました。計算問題は、なるべく、電卓を叩く回数が少ない方が、結果的に早く解くことが出来るからです。日ごろから電卓を強く叩く人ほど、問題の解き方を考えずに、電卓をドンドン叩く癖があり、何度も電卓を叩く結果、時間切れになる可能性が高いと言えます。問題の解答方法が分かった段階で初めて電卓を叩く事が重要ですし、電卓を軽く叩いた方が冷静に解答することになり、結果として、電卓を叩く回数が減り、合格をたどり寄せることが出来ます。
理論や計算について述べてきましたが、税理士試験は、他の受験生(一年間妥協せず本気で努力した受験生)が確実に得点出来る問題に多く配点が置かれる傾向があるため、いかにケアレスミスを少なくして確実に得点出来たか否かで合格が決まるものだと改めて実感しました。
私も、合格するまでに10年以上かかたので、紆余曲折の末、いろいろ考えながら、受験しました。皆さんも今の状況を脱出するために、いろいろと工夫を試みて下さい。マンネリ化こそ、最大の敵です。
次回は、大学院の選択について述べたいと思います。それでは、来年の11月の末には、皆さんが合格されていることを願っています。

